VR ゲームのメリットとデメリット

以前、PlayStation VR のレビュー記事を書きましたが、あれから約 2 ヶ月間が経ちました。その間に PlayStation VR 発売当初から予告されていたバイオハザード 7 も発売され、VR ゲームというものがプレイヤーにどのような体験をさせることができるのかを再確認することができました。今回はバイオハザード 7 を中心に、ゲームにおける VR のメリットとデメリットについて書いていきます。

まずはメリットから書いていきます。

圧倒的な没入感

もう何度も耳にしていることだとは思いますが、やはり VR ゲームはこれまでのゲームとは比べ物にならないほどの没入感を得ることができます。他の全てのデメリットを考慮しても、このためだけに VR でプレイする価値があると言えるほどです。

特に「非現実的な体験」における VR との親和性は凄まじいものだと言えるでしょう。バイオハザード 7 では、そこにいるだけで怖い、先に進むのすら怖い、というまるでホラー映画の主人公になったかのような体験をすることができます。

VR で恐ろしい敵が眼前に迫ってきた時の恐怖はこれまでのゲームとは別格です。「ホラー映画の主人公がなぜ銃を外すのかがわかった」という声も聞きますね。正直、VR ゲームでの焦りは既存のゲームの比ではありません。

ゲーム初心者にも優しい直感的なエイミング

これまでのゲームでは、銃を撃つ場合は画面に ○ や + の形のアイコンが表示され、このアイコンをコントローラーのアナログパッドで動かして狙いをつけ、発射ボタンを押すとアイコンの位置に銃弾が命中する、というシステムが一般的でした。この操作をエイミングと呼びますが、FPS ゲームが人気である海外とは異なり、日本ではあまりエイミングが得意でないプレイヤーが多いのも事実です。

しかし VR ゲームの場合は、より直感的なエイミングの手段として、ヘッドトラッキングやモーションコントローラーを用いてのエイミングが可能です。ヘッドトラッキングとモーションコントローラーのどちらを利用するかはゲームソフトによって異なりますが、どちらもより現実に即したエイミング手段であり、パッドエイミングの苦手なプレイヤーでも簡単に銃弾を命中させることができます。

ヘッドトラッキングでは首を動かしてエイミングします。文字で書くと難しそうに見えますが、簡潔に言うなら自分が見ている位置に銃弾が命中するわけですね。人間はものを見るときに眼球だけでなく首も一緒に動かしていますから、事実上の「視線エイミング」と呼んで差し支えないと思われます。バイオハザード 7 ではこの方式が採用されています。

モーションコントローラーを用いたエイミングではもっと現実的なエイミングが可能です。こちらは本当に銃を手で握って引き金を引くかのように、モーションコントローラーを握ってトリガーボタンを引くことで、モーションコントローラーを向けている先に銃弾が命中します。Until Dawn: Rush of Blood などでこの方式が採用されています。

カメラ操作から解放され自由な視界が得られる

VR ではキャラクター(自分)がゲーム内で見ているものが見えているわけですから、キャラクターの移動系統とは別にカメラを操作する必要がありません。右を見たければ現実の自分が右を向けば良いのです。敵から隠れるように壁に身を寄せながら奥の空間を覗き込みたければ、キャラクターを壁に寄せたまま現実の自分が首をひょこっと出せばそれができてしまいます。

また、これまでのゲームでは、カメラを操作する場合にはカメラ角度や位置の限界が存在しました。上を向こうとしても一定の角度までしかカメラを動かせなかったり、障害物や見えない壁に阻まれて一定の角度以上は見渡せない場合が多々あるわけですね。もしくはカメラの高さが固定されている場合、視点を上下に動かすことはできても高い位置から見下ろしたり、逆に低い位置から見上げたりといったことはできません。

しかし VR ではこれらの制限がありません。したがって非 VR ゲームでは見えなかった部分も見えてしまうのです。特に低い位置から見上げることができるということが意味するものは……紳士諸君のご想像にお任せします。

一方で、VR ゲームならではのデメリットも存在します。

酔う

個人差はありますが、VR ゲームは酔います。
感覚的には乗り物酔いに近いものだと思いますが、不快感から始まり頭痛や吐き気を催します。寝不足だったり疲れていたりで体調が優れない時ほど酔いやすいように感じますね。ゲームの動きが激しいほど酔いやすいので、アクションゲームなどは VR には向かないのではないでしょうか。

ぼくは乗り物酔いはしませんが、Robinson: The Journey を初めてプレイした時は 20 分ほどで吐き気に悩まされました。PlayStation VR を買ってすぐの頃は、バイオハザード 7 の体験版でも階段を降りる時などに酔いそうな不快感を感じていました。今はもうバイオハザード 7 をぶっ続けで 7 時間ぐらいプレイしても全く酔いませんけどね。

VR 酔いの詳細なメカニズムはまだよくわかっていないそうですが、乗り物酔いなどに用いる酔い止め薬を服用することで酔わなくなるそうです。酔い止め薬は毎回服用するわけではなく、初回のみ薬を服用してプレイし、脳を VR に慣れさせてしまえば次からは酔いにくいそうなんですね。もちろん酔い止め薬を服用せずとも、何度もプレイして普通に VR に慣れることによっても酔いは軽減されます。

ちなみに、乗り物酔いがひどい人は VR でも酔いやすいようです。逆に乗り物酔いを経験したことのない人でも VR は酔います。ネットの書き込みによると最初から全く酔わないという人もいるようですが、ぼくの周囲にはそういう人は皆無でした。

デバイスの装着が面倒である

やはり毎回 PlayStation VR を装着するのは面倒ですね。ほんのちょっとだけ空いた時間で VR ゲームをしよう、という気持ちにはなれません。また、一度装着してしまうと、些細な用事のためにわざわざ PlayStation VR を外して再度装着するのは非常に億劫です。

PlayStation VR の装着を面倒に感じる主な原因はピント合わせです。ヘッドバンドを伸ばして頭にかぶせて後ろのギアを回して固定するだけなら、そこまで苦ではありません。しかしここに PlayStation VR を上下させてピントを合わせる操作が加わります。裸眼の場合はあまり気にならないかもしれませんが、眼鏡を使用している場合はなかなか最適なピントに合わせることができません。

とは言え、装着が面倒だからと言って「VR 体験をしない」という選択肢はありません。ピント合わせに多少の時間をかけたとしても最高の環境で VR 体験ができるなら、という気持ちです。

攻略サイトを見ながらプレイできない

PlayStation VR を装着すると、視界はほぼ完全に VR 空間に覆われてしまいます。装着状況によっては視界下部から外の光がわずかに入ってきますが、これもスマホの画面さえまともに見れるものではなく、事実上攻略サイトなどを見ながらプレイすることは不可能です。

人によっては攻略サイトなどは一切見ないという人もいるかと思いますが、トロフィー集めのためのやり込み要素に挑戦する際には多少の攻略情報は必要になってきます。特にマップの特定の位置に存在するアイテムを集める場合など、アイテムの位置をいつでも確認できるかできないかの違いは大きいように思います。

ゲームソフトの入れ替えが難しい

これは VR 未経験のプレイヤーにとっては盲点かもしれません。PlayStation VR を装着したままでは周囲がほとんど見えないので、ディスクの入れ替えは困難です。せめてディスプレイ部分を上にずらすことができればいいのですが、PlayStation VR はそのような仕様ではありません。

しかしこの点については単純な解決策が存在します。パッケージ版ではなくダウンロード版のソフトを購入すれば良いのです。ダウンロード版ならディスクを回すこともないので、レンズ損傷によって PS4 本体の寿命を縮めるリスクを回避できるというメリットもあります。

ここまで、VR ゲームのメリットとデメリットについて書きましたが、番外編としてスマホ VR と比べての評価についても少し書いておきたいと思います。

スマホ VR と比べて

スマホ VR というのは、専用のゴーグルに iPhone や Android などのスマホをセットしてスマホの画面をゴーグルのレンズで見る、というものです。ゴーグルは自分で工作して作ったりイベントなどで配布されていたりする無料のものから 1 万円ほどするものまで、数多くの種類が発売されています。ゴーグルの種類によって多少の見え方の差はありますが、いずれも VR 性能は手持ちのスマホに依存します。

PlayStation VR などのハイエンド VR は値段が非常に高く、「とりあえず VR がどのようなものか体験してみたい」というユーザーが簡単に手を出せるものではありません。一方、スマホ VR は安価なゴーグルを買うだけで VR 体験をすることができるので、VR の入門用としては最適かもしれません。

そして今回、友人がこのゴーグルを持っていたので、それを借りてスマホ VR を体験させてもらいました。結論から言うと、スマホ VR と PlayStation VR などのハイエンド VR は全くの別ものです。

とは言え、スマホ VR は思っていたよりはしっかりと VR 体験をすることができました。スマホのジャイロセンサーを用いたヘッドトラッキングによって周囲を見渡せますし、一応は奥行きを認識できる程度の 3D 感も得られます。

しかしやはり、所詮はスマホの画面をレンズで覗き込んでいるだけなので視野が非常に狭く、PlayStation VR のように視覚のほとんどを VR 空間に占有されている、というほどの体験はできません。言うなれば望遠鏡のレンズ越しに VR 空間を見ているような感覚でしょうか。対象の VR 空間と自分の目との間にはかなりの距離があるように感じますし、VR 空間の周囲の黒い縁(ゴーグルの縁)が気になります。ピント合わせもお粗末なもので、ぼくの目では完全にピントが合うことはありませんでした。

何より、スマホ VR では基本的に「操作」ができません。スマホはゴーグル内部にセットされていますから、タッチスクリーンを操作できないのは当然ですね。VR 動画であれば再生ボタンを押して動画を再生し始めてからスマホをゴーグルにセットするので、動画の最初の数秒は根本的に見れないことになります。

さらにもう 1 つ、スマホ VR では熱の問題もあります。スペックの高いスマホの場合は別かもしれませんが、基本的には長時間の使用は発熱のため処理が遅くなるものです。発熱の程度によってはスマホ本体の故障や、場合によっては爆発の危険性もあるので注意する必要があります。

以上、スマホ VR の評価でしたが、VR の入門用としては価格的にも手軽さ的にも非常に良いものであると言えます。ただ、スマホ VR はあくまでも VR のお試し版であり、スマホ VR だけを体験して「VR と言っても所詮はこの程度か」などと VR そのものを評価するのは性急に過ぎると言うものです。

今後の VR ゲームに期待したいこと

これまでの VR ゲームは、あくまでも VR の技術デモをゲームとして売りに出したようなレベルのものばかりでした。価格は安価ですが、ボリュームも価格相応であり、これまでのゲームのような「やり込み要素」の少ないものが多かったのが現状です。中には出来の良い VR ゲームも存在しますが、その一方でまだあまり VR ゲームの数が少ない現状だからこそ許されているようなレベルのゲームも存在します。

今回バイオハザード 7 が発売されたことで、今後同価格帯のゲームはバイオハザード 7 と比較されることになります。バイオハザード 7 は難易度 Casual の初見で約 11 時間のプレイ時間でした。クリア後も高難易度の攻略だったりトロフィー集めだったり DLC だったりとやり込み要素も多く、それなりのボリュームを感じました。
今後はバイオハザード 7 を基準に、より面白い VR ゲームが登場するといいですね。

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